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終物語(上) ネタバレ感想 おうぎフォーミュラ (正義の味方が孤独な理由)

『終物語(上)』に関しては三つの短編からなっているので、短編それぞれに感想を書こうと思います)
終物語 (上) (講談社BOX)
終物語 (上) (講談社BOX)

まさかのミステリー!!

刀語シリーズにおける真庭語『初代真庭蝙蝠』の話もそうでしたが……まさか、阿良々木くんの過去がミステリー仕立てで解き明かされるなんて。
とは言っても、阿良々木くんがまだ怪異を知らなかった時の話なだけあって、物語に派手さはありませんでしたね。
代わりに、怪異とはまた違った生々しさ、おどろおどろしさがありましたけれど。
月並みな表現になりますが、結局、この世で一番怖いのは、幽霊や化物ではなく   生きてる人間、ということなのかもしれません。
……どうでもいいけど、物語シリーズにおけるこの短編の雰囲気を気に入った人は、是非『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』を読んでほしいです。「人間関係の不和」という題材を扱っている作品なら、あれの右に出る作品はないと思うから   もちろん、ぼっちネタもあるよ!








それでは、ここからはネタバレ満載感想になります。
   ちょっと。ネタバレが見たいからって『終物語』を読んでもいないのにこの記事を読もうとしてるキミ! 悪いことは言わないから止めとけって。
僕の文なんかで満足しないで、ちゃんと『西尾維新の作品』を読もうぜ、超面白いから!
特に、この短編に関してはミステリー仕立てなので、ネタバレを食らったら面白味が半減   いや、激減してしまうんだよ?
わかってもらえたなら左上の戻るボタンをクリック。書店へGOちゃんだ!

……よし、これでネタバレだけを見に来た連中は去ったな。
もちろん、この文まで辿り着いたキミたちは読んでるよな?    オーケー。
ではでは、読書感想に移ります。


扇「あー、阿良々木先輩、今エッチなこと考えたでしょー


十月下旬、放課後。
阿良々木くんは神原に紹介された転入生   忍野扇に、直江津高校に不自然なデッドスペースがあるので一緒に調べてもらいたい、という相談を持ち掛けられます。
するとそこには、時の止まった教室と  


『一年三組 阿良々木暦』と書かれた教科書


阿良々木「ぐっ……」

扇「あれあれ? 阿良々木って書いてませんでした、今の教科書? おかしいなあ、不思議だなあ、どうしてだろう   どうしてこの教室に、阿良々木先輩の教科書があるんだろう? 私が気づかないうちに持ち込んだんですか? いけませんねえ、持ち込み禁止ですよお、この教室?

阿良々木「扇ちゃん……きみ、何か知ってるの?


「私は何も知りませんよ。あなたが知っているんです   阿良々木先輩


……このあたりの演出は、流石西尾維新、という感じですね。
不自然な時計、不可解な教室   不気味な後輩。
こんなことをされれば、自然、阿良々木くんも口を割らざるを得ないですよねぇ……。

そこは、端的に言えば。
阿良々木くんが高校一年の時に過ごした   過去の教室でした。


「火のないところに煙は立たないだろ」
                「馬鹿じゃないの、こんな議論に何の意味があるの?」
「帰ればいいじゃねえか。その代わりお前が犯人ってことになるからな」
                          「今日、デートの予定だったんだけど」

「これが冷静になれるかよ!」

                           「何かっこつけてんの、気持ち悪い」

「知ったようなことを言うなよ。探偵気取りか?」
                        「私は関係ないって言ってるじゃない!」
「自分のことばっかりだな」

             「もういいよ面倒臭い。私が犯人ってことにして終わろうよ」


そしてそれは   阿良々木暦を議長にして。
ある過ちが起きた、過去でした。


友達はいらない   友達を作ると人間強度が下がるから


「阿良々木先輩の口癖でしたよね。   では、好奇心からお訊きしましょう。このクラスでは阿良々木先輩は、どう変わったのでしょう? 深遠先輩は、問嶋先輩は、小馬先輩は、鞠角先輩は   あなたをどう変えたのでしょう?


そんな彼女の語り口に、のせられて。
阿良々木くんは、自身が   自分たちが犯した過ちを語り始めます。

それは、一年三組で行われた数学の勉強会の時……試験問題を知っている「誰か」が、その試験の内容を事前に他の生徒にカンニング「させ」たのではないか、という疑惑。
その犯人捜しが、その日、その教室では行われていました。
しかし、喧々諤々の議論の末、下校時間と言うタイムリミットが迫った時……クラスの委員長   老倉(おいくら)は言います。


老倉「誰が犯人なのか、多数決で決めます


そんな、最悪解を。

  扇   「あー、へえ。そういうことですか。そこでクラスの大半が挙手して、阿良々木先輩が犯人に仕立て上げられたんですね。そんなことがあれば、確かに、人間に絶望してもおかしくはありませんよね。心からのご愁傷を申し上げます」
阿良々木「違う。僕のときに手をあげたのは、老倉一人だった
  扇   「え」


阿良々木「クラスの大半が挙手したのは、出席番号六番   老倉育のときだった


それは、白が黒になる瞬間。
世界が、間違いを許容した一瞬。


老倉育……確かに彼女は、良い人間ではありません
阿良々木くんを勝手に目の敵にしたり、態度が強情だったり、上から目線だったり。
けれど、彼女は彼女なりに   真実を追いました
クラスに不正があることを知って、それに立ち向かおうとしました。
その結果、あんなくだらないことを言ったとしても  
彼女は、悪い人間ではなかった
けれど、そんな彼女を   数の暴力が襲った
まさに……この世界では、 「数の多さ」が強さであり。
「強いモノ」こそ正義なんだと、言わんばかりに。
そう  


この世界では、大多数こそ正義であり。
少数派こそが   なのです。



阿良々木「真実が決められてしまった瞬間、正義が決定してしまった瞬間   僕はあんな怖い瞬間を、見たことがない。あの時、僕は見失った

《否   見失ったのではなく。
 失ったのだ。》

「僕はあのときまで、正しさみたいなものを信じていた   世の中には正しいことがあって、それができるかできないか、なんだって。だけど、間違ったことでも、酷いことでも、馬鹿げたことでも、多くの人がそれを肯定すれば、正しくなってしまえることを、僕は知った
阿良々木「正しさなんて、いくらでも量産可能なのだと、僕は知った   正しさは人数によって確立されるんだと、僕は知った」


だから僕は、確立よりも孤立を選んだ



阿良々木暦
彼は、正しい人間です。

阿良々木「僕がお前を助けてやる……僕の血を吸え

それはもう   お人好し、と言える程に。
目の前で困ってる誰かに、手を差し伸べずにはいられない人間です。
   「正しい正義」を追い求める、出来過ぎた人間です。
だからこそ、彼は……正義でないことが「正義」になる瞬間を、許せなかった
大多数によって、間違ったモノを「正義」に反転させる行為が、許せなかった
そのうえ……なにより。
なによりも  

阿良々木「僕が正しさに絶望したのは」


「あのとき、老倉を犯人に指名したクラスの連中に紛れて……、教師である鉄条もまた、ぴんとまっすぐ、手を挙げていたからだ



あの教室で誰よりも正しくなくてはいけない   「教師」が、
自身の保身のために、数の暴力を老倉に振るったことに……絶望した




阿良々木友達はいらない。人間強度が下がるから



そうして彼は、一人で  
正義の味方になろうとした



……それが、阿良々木暦の始まり始点
この世界の「正義」がいかに危ういものかを知ってしまった彼は、だからこそ。
孤独に身を置いて、正義を貫こうとした  



阿良々木「……長い話になっちまったが、これが阿良々木暦の物語だ。ご清聴ありがとう、扇ちゃん」



と、勇気だけを友達に




推理モノとしてもかなり面白かったですけど……西尾作品のこういう善悪論は、ホンット面白いですよね!
そして、この作品では「正義とは、孤独でなければ貫けない」   ということが言いたかったのかなー、と個人的には思いました。
あと印象的だったのは……老倉さんが「ああなった」ことに対して、阿良々木くんが  

《自ら死地に踏み込む彼女を、僕はただ見ているしかなかった   助けてやれなかった。》

と独白しているシーンですね。
……だって、阿良々木くんのことを勝手に嫌って、散々嫌なことをしてきた女ですよ?
それでも阿良々木くんは、彼女のことを   「助けてやれなかった」と嘆くんです。後悔するんです。
これもまた、阿良々木くんの「正しさ」を強調した、良いシーンですよね。



以上、『終物語(上)・おうぎフォーミュラ』の感想でした。
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>「友達はいらない。人間強度が下がるから」

>そうして彼は、一人で。
正義の味方になろうとした。

>……それが、阿良々木暦の始まり。始点。
この世界の「正義」がいかに危ういものかを知ってしまった彼は、だからこそ。
孤独に身を置いて、正義を貫こうとした。

初出の時は、ただの痛い言葉でしたが、こうしてみると、確かにね…という感がハンパなく伝わってきますよね。
春休みでの羽川翼との邂逅から、こんな事を言わなくなった暦ですが。
思うに、彼は正し過ぎたのではないか。
羽川翼と同様、正し過ぎたが故に。
しかし、こういう過去を持つが故に、奇しくも猫物語 白でガハラさんが翼に言っていますが、正しさの危うさを知っているというところに繋がるのではないでしょうかね。
先送りにされていた、阿良々木暦自身の物語。
いきなり救いの無い過去からスタートしましたが、それでも彼にはハッピーエンドを迎えて欲しいですなぁ。
「成功した阿良々木暦」として。


>《自ら死地に踏み込む彼女を、僕はただ見ているしかなかった助けてやれなかった。》

この辺りも、後々の阿良々木暦のお人好しとまで悪口(!)言われる原点なんでしょう。
なでこスネイクにて、千石撫子を呪った相手まで助けようとしたのも、この辺りに起因するのでは?

ネタバレになりますから、続きは次回(無茶ぶり?)ですが、この後、阿良々木暦のお人好しにて、独りの人間が救われるわけで。
いや、救われたと信じたいですよ。
だって、阿良々木暦にとって、彼女 老倉育でさえ、当たり前のように助ける対象なんですから。

しかし、扇ちゃんの怪しさ爆発ですな!
彼女がなんなのかは、それこそいろんな推測が飛び交ってるようですが、ホント、なんなのだろうか。
「何か」であるであろう忍野扇。
その存在が阿良々木暦にとって、そして彼を取り巻く者にとって、吉なのか凶なのか、まだまだ解りませんね。

でも面白かった!
徹夜で一気に読んじゃったもんなぁ、二度も(笑)

下巻(中巻ないよね?)、そして続終物語まで、目が離せませんね!

それでは、長々と失礼しました。

ガハラさんは手を挙げたのか気になりますよね

当時のガハラさんの場合なら、出席番号の最後まで挙手しなかったんじゃないですかね?
常軌を逸した多数決が行われている状況ではなくとも、挙手した人間の合計と参加者の合計が一致しているかなんて、この場合誰も問題にはしないでしょうからね。

…で、kidsさんは文系?理系?

続く「そだちリドル」の感想って、難し過ぎる気がしますが…

今まさに「そだちリドル」を読んでいて、そういえば、kidsさんのブログどうなったのかなと気になったもんですから。

感想に対してコメントするだけの自分が言えることではないですが、このブログ、やっぱり面白いので(他は結構批判的な残念なブログも多く、西尾維新先生の大ファンとしては憤懣やるかたないので)、是非とも頑張って下さい!!

…てか、仮に文系だったら、モンティ・ホール問題に言及し始めたら、確実にドツボに嵌まりますよ(T_T)
ちなみに自分はサッパリ全然全くこれっぽっちも理解出来ませんでした(^。^;)
…数学どころか算数で諦めた、根っからの文系なもんで(笑)

コメ、ありがとうございます!

> ガハラさんは手を挙げたのか気になりますよね

我関せず、と言う感じじゃないでしょうか?w


ではでは~v-422

> ななしさん
いつもいつもコメ、ありがとうございます!!


> 初出の時は、ただの痛い言葉でしたが、こうしてみると、確かにね…という感がハンパなく伝わってきますよね。
> 春休みでの羽川翼との邂逅から、こんな事を言わなくなった暦ですが。

……そうだ、この言葉ってかなりフューチャーされてるから阿良々木くんが「実際に」言ってると思ってましたけど、阿良々木くんの「過去の痛い発言」としてしか本編に出てないんでしたね!
羽川と友達になってからは、言ってないんですよね。
新しい気づきをありがとうございます!


> 思うに、彼は正し過ぎたのではないか。
> 羽川翼と同様、正し過ぎたが故に。
> しかし、こういう過去を持つが故に、奇しくも猫物語 白でガハラさんが翼に言っていますが、正しさの危うさを知っているというところに繋がるのではないでしょうかね。

そうですねぇ……そこにも繋がってきますね。
あとは、偽物語でファイヤーシスターズにしたお説教とか……あのあたりの話と、ガハラさんが言ってた話は、まさにこの出来事があったからこそ、なんでしょうね。
だけど……それでも正義を貫こうとする阿良々木くんは、カッコいいですよね。


> 先送りにされていた、阿良々木暦自身の物語。
> いきなり救いの無い過去からスタートしましたが、それでも彼にはハッピーエンドを迎えて欲しいですなぁ。
> 「成功した阿良々木暦」として。

いやー、ホントにね……暦物語であんなことになっちゃってますけどw、頑張って欲しいですね。
結局、化物語シリーズをハッピーエンドで終わらせられるかっていうのは、彼の活躍にかかってますかrね。


> ネタバレになりますから、続きは次回(無茶ぶり?)ですが、この後、阿良々木暦のお人好しにて、独りの人間が救われるわけで。
> いや、救われたと信じたいですよ。
> だって、阿良々木暦にとって、彼女 老倉育でさえ、当たり前のように助ける対象なんですから。

「当たり前のように助ける対象」なのが凄いですよね。
僕もあの独白を読んだときは、どんだけお人好しなんだよ! と思いました。


> しかし、扇ちゃんの怪しさ爆発ですな!
> 彼女がなんなのかは、それこそいろんな推測が飛び交ってるようですが、ホント、なんなのだろうか。
> 「何か」であるであろう忍野扇。
> その存在が阿良々木暦にとって、そして彼を取り巻く者にとって、吉なのか凶なのか、まだまだ解りませんね。

……もうなんなんでしょうね、あいつw。
アニメに出てビジュアルイメージが掴めればなんかわかると思ってたんですけど……更によくわかんないっていうw。
おうぎダークで、明らかになるんでしょうか?


> でも面白かった!
> 徹夜で一気に読んじゃったもんなぁ、二度も(笑)
> 下巻(中巻ないよね?)、そして続終物語まで、目が離せませんね!

中巻ねえ……ないんですかね?(意味深)
それにしても、徹夜で終物語が読めるのはスゴイですね! 僕なら三時ごろに寝る自信がありますw。


ではでは~

> ななしさん
コメ、ありがとうございます!


> 続く「そだちドリル」の感想って、難し過ぎる気がしますが…
> 今まさに「そだちドリル」を読んでいて、そういえば、kidsさんのブログどうなったのかなと気になったもんですから。
> 感想に対してコメントするだけの自分が言えることではないですが、このブログ、やっぱり面白いので(他は結構批判的な残念なブログも多く、西尾維新先生の大ファンとしては憤懣やるかたないので)、是非とも頑張って下さい!!

もう記事は書き上がってるんで、あとは編集してアップします……遅くとも金曜までにはブログに載せられると思うので、載ったら読んでやってください!
あと……正直僕も、批判的  と言うほどではないかもしれませんが、どっちかって言ったら、楽しめなかった的なことを書いてしまっているのは、そこはご了承ください……。


> …てか、仮に文系だったら、モンティ・ホール問題に言及し始めたら、確実にドツボに嵌まりますよ(T_T)
> ちなみに自分はサッパリ全然全くこれっぽっちも理解出来ませんでした(^。^;)
> …数学どころか算数で諦めた、根っからの文系なもんで(笑)
> …で、kidsさんは文系?理系?

ななしさんと同じく、もろ文系ですw。
ほんとね……数学って、わからない人にはまったくわからないですよねw。


ではでは~v-422

あららぎ君が小学生に時は、クラスに突然暴漢が入ってきたら、身を呈してでもみんなを守ろうって奴が多かったって、みんなを信じる気持ちがあったんですよね‥
プロフィール

Mr.Kids

Author:Mr.Kids
ライトノベルに現在進行形ではまっています。
読んだラノベの中でも特に好きなやつの感想を書いていきます。

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