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ちーちゃんはちょっと足りない ネタバレ感想 (たりないふたり)

(今更ながら『ちーちゃんはちょっと足りない』を読みました)
ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!)
ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!)

いやー、色々と刺さるなー、この人の作品は!!!w    だが、そこがイイ!

序盤、しっかりとほのぼの世界を見せたあと、一つの事件をきっかけに『彼女』の色んな問題が見えてくる、という……短編でサクリ、と刺すのが上手い阿部共実先生ですが、今作は長編としてキャラ見せをじっくりやっている分、ラストに深く刺されました。
てゆうか、この作品のタイトル自体は『ちーちゃんはちょっと足りない』で、主人公はたしかにちーちゃんですけど……これ、本当に足りないのは     




以下、ネタバレ感想です。


ナツ《いっぱい欲しいよ。いっぱい欲しいよ。なんでもいいから。
   私たちはなんでこんなに足りないの? 余った物でいいからちょうだいよ何か》


この作品には、ちょっと足りない人が多く登場します。
我慢が足りない「旭」、時間が足りない「藤岡」と「志恵(お姉ちゃん)」、頭が足りない「ちーちゃん」と、みんな何かしらの欠落、欠陥を持って生きています。
けれど、彼女達は足りないなりに。精一杯「今」を生きています。
だから  


藤岡「ちょっと足りなくたって、どうだって楽しんで生きていけるだろ


藤岡さんのこの言葉こそ、正解。
欲しいモノが手に入らない。他の人は持っているのに、自分は持ってない。   自分だけ足りない。
じゃあ、そんな自分は楽しんで生きられないのか。俯いて、日々を生きていくしかないのか。
   そんなことはない。
みんながみんな、足りないなりに折り合いをつけて、毎日を生きている。自分だけが足りないわけじゃない。

だから、足りなくたって   足りないままで、幸せになることはできる

そんなことを、藤岡さんは……この作品は教えてくれます。
ただ、本作がすげーのは、これを教えてくれる展開がラストひとつ前の話、『七話』で出てくるところですw。
藤岡さんがちーちゃんにそう言うこの展開を、ラストに持って来て   あの場にナツも呼んで、彼女も謝ってみんな大団円! とするのが、一番ハッピーな終わり方でしょうに……そうは問屋が卸さなかった。てか、作者がやらせなかった!w


ナツ《はいはい。どうせ私だけがクズですよ


ネットに転がってる本作の感想に、彼女の独白を鵜呑みにして『ナツってクズだな』みたいなことを言ってる人がたまにいるんですけど、「それは違うよ!(CV苗木くん)」と個人的には反論したいですね。その意見はダンガンロンパしたいですね。
行動、思考、言動。どっちかっつったらクズっぽい彼女ですが、ナツは自分をそう卑下しているだけで   別段、クズではないと思います。
じゃあ、彼女はなんなのか。それは  


ナツ《何か足りないものはないの? 怖いものはないの? 嫉妬するものはないの?
   なんでみんな不満そうな顔すらしないの。そんなのおかしいよ。せこいよみんな



弱い。人間として、脆いということです。
きっと、彼女には世界が汚く、つまらなく見えているんでしょうね   だって、その目が濁っているのだから。
確かに、ナツは足りないです。頭も良くないし、貧乏だし、天然入ってるし。
けれど、彼女よりもっと足りないちーちゃんは、ナツよりよっぽど人生を楽しそうに生きています。

《ガチャガチャをやって》
志恵「どう? ハズレだったの?」


ちーちゃん「かわいい」


ナツよりも、欠落は多いはずなのに。
ちーちゃんは髪留めを貰えたぐらいで、本当に幸せそうに笑います。
   きっと、彼女には世界が光って見えている。
本人は意識していなくとも、ちーちゃんは世界を恨んでいない。


ちーちゃん「ちーにはなにもない。なんで!」


そういう感情を、持っているにも関わらず。
自分が足りないことを、ちーちゃんも自覚しているのに。
世界が不平等だと、気づいてしまっているのに  


ちーちゃん「ナツー?」


ナツ《なんで。
   なんで、私なんかに
   そんな顔して、かけよってくれるの》


それでも彼女の瞳は、この世界を綺麗に映し出しています。


一方ナツは、どうしても周りに対して穿った見方をしてしまう。
どうして、みんなには恋人がいるのに、私には  
どうして、みんな好きなモノを買ってるのに、私は  
どうして、みんな友達がいるのに、私には  
どうして、どうして、どうして、どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして     

ナツが独白をしている時、ぐにゃり、と世界が歪むことがあります。
それは恐らく、彼女には世界が「そう」見えているから。
ナツは弱くて、脆いから。足りない自分を見て、周りと比べて、嫉妬してしまうんです。
だからこそ、あの千円を   悪いことだとしても、足りない自分を埋め合わせるために、受け取ってしまったんです。
……やっぱり、彼女はクズではないですね。   弱かった。これに尽きます。
少しでいい。ちょっとでいいから、ナツにも、藤岡さんのような考え方ができたら……そう、思わずにはいられません。
けれど、最後  


ナツ「私たち、ずっと友達だよね」
ちーちゃん「うん」


それは、ハッピーエンドとは言えないのかもしれないけれど。
それでも……ちーちゃんの隣にいるうちに、ナツも  
いつか、世界の違う見え方ができるようになれば、なんて思います。
そもそも、中二って色々と考えちゃう年ですからね。「大人」になればまた、変わっていけるのではないでしょうか。


願わくば、足りない二人の未来が、幸福でありますように


以上、『ちーちゃんはちょっと足りない』の感想でした。
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「穿った見方」の意味を誤認していませんか?穿つとは物事の真髄を突くという意味です。
感想、しみじみと読ませていただきました。キャラの上辺だけでなく裏側と中身も推察する姿勢が素晴らしくて、とても沁みました。
足りなくてもいい、でも足りないことを別の方面で補えないというのは、つらいでしょうね。
深い記事を読めて嬉しかったです。

僕もナツに向かって(クズなんかじゃないよー!!)って叫びながら読んでました笑

これから買おうと思ってんのに読んじまったじゃねーかw

>「穿った見方」の意味を誤認していませんか?穿つとは物事の真髄を突くという意味です。

まずはコメ、ありがとうございます。
マジですか……ご指摘、ありがとうございます。


> 感想、しみじみと読ませていただきました。キャラの上辺だけでなく裏側と中身も推察する姿勢が素晴らしくて、とても沁みました。
> 足りなくてもいい、でも足りないことを別の方面で補えないというのは、つらいでしょうね。
> 深い記事を読めて嬉しかったです。

こちらこそ、拙い文章を読んでくださってありがとうございます!
恐らくナツにとっては、足りないことが「全て」だったんでしょうね……ナツは自分に足りないものばかり数えてしまって、「足りてるモノ」に目がいかなかった。だからこそ、ああして思い悩んでしまう、という。
うーん、色々と考えてしまう傑作ですよね、この作品w。



> 僕もナツに向かって(クズなんかじゃないよー!!)って叫びながら読んでました笑

コメ、ありがとうございます。
ですよね! ナツはクズじゃないですよね! 同じ意見の方がいて良かったです!


ではでは~v-422

もう一歩進みなさいよ。

ナツは、ナツこそは。

アンタ自身であり、俺自身だよ。

作者が一番言いたかったのは、それだよ。
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Author:Mr.Kids
ライトノベルに現在進行形ではまっています。
読んだラノベの中でも特に好きなやつの感想を書いていきます。

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